孤独感が遺伝子の発現に影響する?
前回のブログで、栄養状態によって遺伝子のON/OFFがなされ、そのON/OFFは生まれてくる赤ちゃんの遺伝子のON/OFFにも影響を与えることを書きました。
遺伝子のON/OFFが栄養状態によって変化するというだけでなかなか面白いですが、今回のお題「孤独感が遺伝子の発現に影響するかどうか」という事柄を調べた調査があるようで、なかなか面白い題材です。
結論から言うと、孤独感は遺伝子の発現に影響するようです。
スティーブ・コール博士の調査によると、「孤独感」を強く感じている人とそうでない人では209個もの遺伝子の発現に違いがみられたとのことです。この209個の遺伝子のうち78個は炎症に関わるもので、これが異常発現していたとのことです。という事は様々な病気に関わる炎症が起きやすくなっているという事です。そして残りの131個は抗体の生成や抗ウィルスに関わるもので、それに関しては発現量が低下していたとのこと。
ですので209個の遺伝子の発現の違いにより、炎症系である関節炎や心臓病になりやすく、ウイルスにやられやすい体質になってしまうという事です。
他の調査では、日々の幸福感の度合いを点数化し、その幸福感を種類分けして調査しました。例えばおいしいものを食べるなどの「快楽追求型の幸福感」、人生に方向性を見出しているなどの「向上心追求型の幸福感」というように。そしてそれらが遺伝子の発現と相関関係があるかどうかを調べました。
そうすると「向上心追求型の幸福感」を日々感じている人の方が「快楽追求型の幸福感」を感じている人よりもウィルスに対する遺伝子の発現が活発になっていたとのことです。
「バカは風邪ひかない」というより、「向上心を追求した幸福感を感じている人は風邪ひかない」というのが現代版のことわざになりそうです。
ここで一つ重要なのが、「孤独な環境」ではなく「孤独を感じている」という「本人の感情」が遺伝子の発現に関与しているというところです。
向上心追求型か快楽追求型かという事に関しても同様に、本人がどう感じているかが今回の調査では取り沙汰され、結果に違いが出たようです。
なかなか面白い研究ですね。
ただこの研究に関してひとつ疑問があって、感情が遺伝子に影響を与えたという見方がもちろんできるのですが、「抗ウィルスの遺伝子の発現が低い人は孤独感を感じやすくなる」というように逆の順序でも理屈が成り立つと思うのですが、、、そこのところどうなんでしょう?まあ、そこは素直に感情が遺伝子発現に作用するという方向で話を続けたいと思います。
ということで、孤独感や日々感じている幸福感の種類によってどうやら遺伝子の発現に影響が出るらしいのです。この調査では「孤独感」や「幸福感」で調べたようですが、おそらくあらゆる感情が遺伝子の発現に影響するのではないでしょうか?
まあ、そうであってもそうでなくても感情が身体に多大な影響を及ぼすのが当たり前の事実であることは、多くの方が「体験的に」知っていると思います。ただ科学のお墨付きが得られるなどしないと、なかなかピンときにくい物でもあると思います。
当院で施術を受けている方は、感情と肉体症状とのつながりに気づくようになる方が多数おられます。しかも先ほど挙げた「孤独感」といった顕在意識ではなく無意識下にある潜在意識レベルの感情です。潜在意識レベルの感情が肉体に多大な影響を与えていることに、今まで以上に気づくようになるのです。
顕在意識レベルの感情は、すでに感情に気づいているので自分の努力で問題は解決へと向かいます。ですが潜在意識レベルの問題はやっかいです。気づいていないものを自分自身で意識的に扱うことはできません。表に現れない潜在意識レベルの感情は体の深くにとどまり続け、感覚に影響を与え続けるかもしれません。例えば子供のころから身体の深くにとどまり続けた感情が、大人になっても、いや墓場に入るまで奥底で感覚、感情、思考、身体に影響を与え続けるかもしれません。
当院ではこういった潜在意識レベルの感情を取り扱い、様々な症状の改善や人生をよりよく生きる為のお手伝いをしています。
そまとは奈良県奈良市の自然療法院。病院などで治らなかった難しい症状専門。オステオパシー、フィシオエナジェティック、フェルデンクライスメソッドを柱とした総合療法を行っています