以前何かの動画で「食事で糖質を摂る必要は殆どない」と主張する医師と「そんなわけがない」と主張する医師とが意見を交わしているものがありました。そのやり取りで面白かったものがあります。そのやり取りとは

糖質必要なし派の医師:「例えば晩御飯を食べる時など、いつも通りに食事をすればよいです。ただ、いつも食べている茶碗一杯のご飯を、それだけを全く食べないようにするのです。そうするとご飯一杯分量が減ります。普段摂りすぎていたカロリーも減らすことが出来ます。この食事での満腹感はご飯を食べていた時と何ら変わりはありません。おかずを増やす必要もありません。私はこれを実践しています。」

糖質必要あり派の医師:「そんなわけがない!満腹中枢は血糖値に反応するんだから、糖分を摂らなかったら血糖値が上がらないから普段よりも沢山食べ続けてしまうはずだ!ありえない!」

と声を荒げていました。どちらの意見が良い悪いとかは置いといて私が面白かったのは、糖質必要なし派の医師は実践から「満腹感に変わりはない」と体験から実感したのです。ですが糖質必要ありの医師は「理屈に合わないからそんな体験なんてありえない」と体験から来る実感を受け入れませんでした。

これもまたどちらの態度が良いとか悪いとか言えるものではありません。学びを求める時は、分析能力が欠けた人の体験談ほど聞くに堪えないものはありません。半面、理屈ばかりで体験の欠けたものは机上の空論になりかねません。


「いま身体感覚はどんな感じがしますか?」

急性症状を治すときや、マッサージなどで簡単に良くなるような事なら、身体感覚に深く目を向ける必要はないかもしれません。ですが深い所から変わっていこうとするなら、身体の感覚に眼を向けることはとても役に立ちます。

身体感覚は経験と共に得ることが出来ます。感覚、感情という個人的な身体感覚を伴うものは、実際に経験するということがキーになります

昨今、科学的、客観的な事実が重視されているように見えます。科学的に証明できないものは全く価値がないものとしてとらえる風潮も時折目にします。感覚、感情などの主観的な視点は当てにならないとみているのです。知的ではない人のすることだというのです。確かに科学的、客観的事実を重視して情報を分化・統合することはもちろんとても大事です。

外のことを知るには、それはもちろん大事です。ですが自分自身を知るには、自分自身の無意識レベルの思考や感情を知るには、感覚に目を向ける必要があります

当院では時々、立ってもらって

:「今、足の裏にどんな風に体重が乗っていますが?」

とお聞きすることがあります。その時のクライアントの答えが

クライアント:「右足にたくさん乗っている感じがします」

クライアント:「左足の裏は感じ取りやすいのですが、右足の足先が無いみたいな、感じ取れません」

といったお答えだとまあ問題がないのですが、時折

クライアント:「いつも写真を撮った時に体が右に傾いているから、右足に体重がかかっています」

のような答えが返ってくることがあります。

そういった場合はもう少し突っ込んで質問します。

:「今、右足と左足で、どちらに沢山体重がかかっている感覚がありますか?」

クライアント:「頭が右に傾いているとよく言われるので、右足に乗っていると思います」

:「そうですか。今はどうですか?今。今この瞬間、足の裏にかかっている体重は、右足と左足でどちらに沢山かかっている感じがしますか?」

クライアント:「、、、、、、あんまり左右の違いはわかりません、、、」

こんなやり取りになることがたまにあります。

意識が過去に行って、今の身体感覚を感じ取れていないのです。

もしかしたら私の質問の仕方が悪かったり、クライアントが緊張して混乱していたりといったことが影響しているかもしれません。そういったことも慎重にみるようにしていますが、事実、「今」をしっかりと感じ取ることは意外と簡単ではなかったりします

焦点が過去や未来に固着して、気が付いたら今目の前にある現実も見えなくなっているかもしれません。

ではどうすれば「今」に焦点が当たるのか。それは自分自身の身体感覚を感じ取ることをすればよいのです

フェルデンクライスメソッドは身体感覚を感じ取るワークです

学校の教育の多くは、外のことを頭で学ぶことをします。自分自身の内(身体感覚)に目を向ける機会はあまり多くありません。ですので数年前から私の院で娘にフェルデンクライスメソッドを受けさせています。(施術も定期的に受けさせています)

数年経って少しづつ身体感覚が育ってきているのが見て取れます。身体感覚を感じる能力は「私」を知る深い教育の重要な土台です。昨今忘れられているとても大事な事柄の一つです。

フェルデンクライスメソッドについては講座・ワークショップのページをご覧ください。